社員が知りたいこと

2019.10.03 インナー☆ブランディング

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本コラムでは、一人ひとりが成長し組織活動に貢献する、インナー☆ブランディング型の人材育成を推進する上で、基本となる考え方を複数回にわたって紹介していきます。

前回は目標による管理を、言葉の解釈の側面から紹介しました。今回は、その目標を、それぞれのやりがいにつなげていく上での要旨をお伝えします。お伝えするにあたり、前回まではP・F・ドラッカーの著書に関連しお伝えしてきましたが、今回は現在のHR責任者の多くが「戦略的人材育成」を進める上でベースと位置づけ、今の人材育成システムの基盤となっている書籍から引用し紹介します。

戦略と人材の方向性の一致こそが「人材ソリューション」

従業員を戦略に結びつけ顧客に対応させることは、業績を大きく伸ばし、長期的価値を築くことになる。この方法を用いれば、人材が不足がちでも、従業員の持てる力を最大限活用することが可能になる。また同時に、有能な人材を惹きつけ、つなぎとめておくことも可能になるはずだ。顧客を大切にし株主と従業員の双方を満足させることのできる、きわめて優良な企業となるのである。従業員は自らが高く評価されていると感じていなければ、顧客を満足させることはできない。そして、顧客の満足こそが、収益やキャッシュフローを呼び、ひいては株主を満足させることができるのだ。

事業を長期的な成功に導くためには、うまくいっていると従業員に感じさせなければならない。人材を効果的にマネージしようと思えば、まず、その点を理解しておく必要がある。従業員を事業と切り離して論じることはできない。それどころか、彼らこそ事業そのものなのだ。株主は金銭的な見返りだけに注目しているが、従業員ははるかに幅広いニーズをいくつも抱えているものだ。そのニーズのうちの多くが、成功し続けるビジネスの一約を担うことと関連している。彼らのニーズを満たしてやれれば、

有能な人材見つけ出しつなぎとめておけるだけではなく、従業員が顧客と株主の両方を喜ばせるようにもなっていく。

例をあげて説明しよう。長年にわたるコンサルティング経験の中で、これまでに何度か従業員の意識調査を行ったことがある。大半とまではいわなくとも、多くの場合、従業員のあげた一番の問題はいつも同じで「コミュニケーション」だった。事実、あまりにも頻繁に耳にするため、そもそも何の調査なのか分からなくなることもあるほどだ。意識調査はその結果を細かく分析してみると、効果的だ。その結果、従業員が次の4つを知りたがっていることが明らかになった。

 1.会社全体は何を目指しているのか?
 2.そのために今何をしているのか?
 3.自分はどんな役に立てるのか?
 4.そうすれば自分にはどんな見返りがあるのか?

以上が従業員の抱える、コミュニケーションに関する4大ニーズである。嬉しいことにいずれもまさに、彼らに知ってほしいことばかりだ。業種や規模を問わず、どんな企業でも、次の4つの点を従業員に明確に示すことは必ず役に立つはずだ。

 ・戦略と目標
 ・計画とプロセス
 ・チームと個人のアカウンタビリティ
 ・報酬

従業員はこれを望んでいるのだ。顧客も同様に、自分の責務を理解して十分な情報を与えられた従業員を望んでいるはずだ。従業員が会社の達成目標に向かって一丸となっていれば、株主もその恩恵をこうむることになるだろう。

出典:『人材戦略』エドワード・L・ガブマン 著 ヒューイット・アソシエイツ監訳 畑桂子 訳東洋経済新報社刊(1999年12月初版発行)

今から20年前の書籍ですが、重要な点は普遍であることに気づかせてくれます。
この引用について表現を変えてみると、
・我々はどのような船に乗り
・どこに行こうとしていて
・何をすればいいのか
・寄港地では何があるのか
を知りたがっている、と言えるのではないでしょうか。

ただし、日本の組織がこの考え方を取り入れる上で注意しなければならないことがあります。
それは、欧米の場合は、個人のキャリアに対する考え方が根底にあることです。
すなわち、自分はこの船でどんな役割を担うかをある程度意識してその会社を選んでいるということです。

日本は、近年になりキャリア教育が導入され、個人が目的や目標をもって社会参画することが促進されてきました。しかし、現在の日本の経営層や管理職層は、キャリア教育導入前に社会に入り、個人よりも組織を優先する価値観の中で育成されてきました。そのため、「役割は船に乗ってから決める」という認識がまだ残っています。

よって、紹介した内容には「個人を尊重した上で」(方向性や役割はある程度もって社会に出る)という前提が含まれていることを理解しておく必要があります。前提を抜きにしてしまうと、トップの方針を現場に伝達する、一方通行のコミュニケーションになります。
以上のことから「個人を尊重する」という点が、今後の育成には不可欠です。

では、どのように個人を尊重すればよいのでしょうか。
個人を尊重する考え方については、再度ドラッカーの文献から引用しご紹介いたします。
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学んで貢献
テーマ:アートとしてのマネジメント~なぜ今マネジメントに「アート」が必要なのか
日時:2019年10月19日(土)13:00~16:45
会場:開港記念会館 9号室
参加費:1,000円(費用は全て令和元年台風被害にあった地域のために役立てます)
お申し込み方法:こちらのページにてワークショップの詳細をご案内しております。
なお、お電話でもお申し込みを承っております。
(045)222-0737までお気軽にお問い合わせください。
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