『フツーーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』に学ぶ

2021.11.13 Inner Branding Case

人事や人材育成に携わるご担当者様は、離職率、メンタルヘルス疾患率を低減させ、社員にやりがいや働き甲斐をもってイキイキと働いてほしい、そのために、
・心理的安全性のある職場風土はどのようにつくるのだろうか
・一体感のある組織にするにはどうしたらよいだろうか
・風通しのよい組織にするにはどうしたらよいだろうか
・社員一人ひとりが考え動ける組織にするにはどうしたらよいだろうか
・社員が自発的に学習する組織風土をつくるにはどうしたらよいだろうか
という問題意識のもと、取り組まれているのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、理念や方針を、社員一人ひとりのやりがいや働き甲斐につなげ、お客様はもちろんのこと、地域や業界に対して高い貢献をされている組織の具体的な取り組みを、書籍などをもとにご紹介しております。

今年もあとひと月半。年末にかけて話題になるのが「箱根駅伝」。
2015年から4年連続優勝。2019年2位。2020年優勝。2021年は、往路12位、復路1位、総合4位という結果を残した青山学院大学。
2021年のこれまでの成績は、
10月10日開催 出雲大学駅伝 2位 (2時間14分07秒)6区間45.1㎞
11月7日開催 全日本大学駅伝対校選手権大会 2位(5時間06分13秒)8区間106.8㎞
いずれも2位の結果です。

箱根駅伝は、1区間20㎞以上で10区間200㎞以上。2021年の青山学院大学の記録は11時間01分06秒。
2022年はどのような走りを見せてくれるか、とても楽しみです。

その青山学院大学陸上競技部を常勝校に育てたのは、陸上選手から企業の営業経験を経て監督に就任した原晋氏。常勝校になるまでには、箱根駅伝出場という目標が達成できずに辞任の危機があったり、箱根駅伝に出場できるようになってからも、なかなか成果が出ない時期が続いたそうです。
そうした苦難をどのように乗り越えどのように成果を出していったか。

今回は、理念・方針をもとに「風土」を醸成することの重要性と、風土の要素について触れられている箇所を引用紹介します。

土壌が腐っていたら、いくらいい種でも目が出ない
良質の土壌をつくるには時間がかかる
もし、私が就任したばかりの頃の青学陸上競技部に、2015年箱根駅伝の優勝メンバーが揃って入部していたとしても、結果を出せなかっただろう、と話しました。

それはなぜか。素材としての力は、その頃のメンバーより上なのは確かなのですが、それでも箱根駅伝に出場するのがやっとだったかもしれません。なぜなら、その頃の青学陸上競技部には第3章、第4章でお話するような「育成システム」が何一つ出来上がっていなかったからです。
「規則正しい生活をする習慣」もなければ、「目標を管理して計画的に走力を伸ばしていく手法」もありませんでした。さらに、「コンディションを整える」ことも、「大会に合わせて状態をピークに持っていく方法」も確立していませんでした。要するにどんなに素材が良くても、その潜在能力を引き出し、伸ばしてあげる環境がなかったのです。仮にも箱根駅伝の優勝メンバーですから、10年前だとしても素質だけである程度の結果は残せたでしょうが、強豪大学と競って上位争いすることはできなかったと思います。
耕していない土壌に、いくらいい種を蒔いても芽は出てこないのです。ましてや腐った土壌だと、芽が出るどころか地中で腐ってしまうこともあります。私は、いい種が芽を出し、ちゃんと育っていくような土壌をつくるまでに10年近く費やしました。花が咲いたのは11年目のことです。
人はすぐに結果を求めたがります。大学駅伝なら箱根駅伝出場、シード権獲得、優勝などの目に見える結果です。私も結果を求めすぎて3年目に失敗しました。土壌を耕すには、どうしても時間がかかるものなのです。

土壌づくりも評価されるべき
土壌を耕すには時間がかかりますが、指導者が焦る以上に、その指導者を評価する立場の人にも焦りが出てきます。指導者がすぐに結果を求めるのは、そんな背景もあると思います。スピードが大事な時代ではありますが、耕す時間も与えずに結果だけを求められるのはどうでしょうか?土壌をつくることも評価すべきです。

ビジネスの世界では、私たち以上に結果が求められると思います。新入社員をじっくり育てる余裕もシステムもなく、いきなり現場に投入し、結果がでなければ「できない社員」の烙印を押す。上司は、ミスを減らし、結果を出そうと自分で仕事を抱える。どう考えても組織にとっていいとは思えません。そのような組織はどんどん土壌が枯れていき、やがて芽が出ない畑になってしまいます。
「よりよい組織づくりが、よりよい人材を育てる」
質のいい花をたくさん咲かせたいなら、まず目を向けるべきは土壌を耕すことです。
もちろん、耕し始めた頃はいい種を揃えることは難しいものです。私も監督就任当初はスカウティングに行く度に、「青学は箱根に出ていないですよね?」という決まり文句で断られてばかりでした。だからこそ、優秀な人材が入ってきたときにそなえて、その子の能力を最大限に伸ばすための環境づくりに取り組んだのです。
そうして、ようやく勝てる組織ができたときに手にしたのが、2015年の箱根駅伝優勝だったというわけです。

 

数年前、原晋監督の講演会に参加したときのこと。その会場には1000人以上の方がおいでになりました。その時の原晋監督の立ち居振る舞いがとても印象的で今でも心に残っています。

連続優勝の直後であったものの、まったく奢ることなく、むしろ気を引き締めていらっしゃるように見えました。「優勝」という成果はあげているものの、それは一時的なものであると考えていらしたのかもしれません。それよりも「土壌」につながる、日々の考え方や習慣、訓練が大事であることを端々から感じました。

例えば選手には、いつでもインタビューに応じられるように「日常的に訓練している」というお話をされました。そのお話の後、来場者の中から「1000人の前で話をする経験をしてみたい方」を募り、数名を壇上に招き、実際に話をしてもらっていました。

その時に「私が一人でここで話をすれば、私一人の経験に留まってしまうが、この場にあがって話をしてもらうことで、その人の経験にすることができる」とおっしゃっていました。

このお話から、いつ1000人の前で話すチャンスがあるかはわからないけれども、「いつか1000人の前で話をする機会がある」ことを前提としたら、どんな話をするか、どのように振る舞うか、それを意識して日々を送るのと、そうでないのは、大きな違いを生んでいく-と思ったのです。

私たちの多くは、やるべきことがはっきりしてから行動を起こすことが多いですが、組織の将来像に照らし、「チャンスが目の前に急に来たら」とイメージした上で、日常の中で訓練していくこともできる-それが土づくりとなるのではないでしょうか。

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