2026年3月に内閣官房より「人的資本可視化指針改定」が公表され、上場企業には人材戦略の開示が義務化されました。さらに、2027年度以降は成果指標の開示も求められるようになります。
人的資本の開示義務化が進む中で、 「また新しい対応が増えるのか…」と感じる方も多いかもしれません。
しかし「人的資本」の本質を捉えることができると、社員一人ひとりが心身を充実させながら自身と組織の成長につなげることができる理に適った取り組みであることが分かってきます。
そこで本コラムでは、人的資本の考え方の基礎的な面から、人材育成担当者の実務面に至るまで解説していきます。
まずは「人的資本」の定義について確認します。
『「人的資本」とは、人材が、教育や研修、日々の業務等を通じて自己の能力や経験、意欲を向上・蓄積することで付加価 値創造に資する存在であり、事業環境の変化、経営戦略の転換にともない内外から登用・確保するものであることなど、価値を創造する源泉である「資本」としての性質を有することに着目した表現である(人的資本可視化指針 非財務情報可視化研究会)』
つまり「人はコストではなく、価値を生み出す源泉である」という視点への転換です。
この違いは言葉だけでは捉えにくいため、視覚的に整理してみましょう。
これまで「資源」として捉えられていたものを「資本」として見ることになったかについては、次回の歴史的背景をご覧いただくと必然の流れであることがご理解いただきやすいのですが、それは次回までお待ちいただくとして、今後、経営は「資本」として扱うことを求められている点はおさえておく必要があります。
「人的資本」へは外部要請を受け組織は対応していく必要が生じていますが、人的資本経営が求める“自律・主体性”は、実は組織が自然に向かう成熟段階と一致しています。
組織の発展段階
様々な研究者や実践者により、人や組織の成長・発展段階が体系化されていますが、そこには共通の因子があります。それは、組織は、指示や命令で「管理」される状態から、自立・自律し「協働」していくように成長・発展していく性質を持つ、ということです。
但し多くの場合「過去の慣習」や「成功体験」がしみついているため、自立・自律への移行は困難が伴い、「管理」の状態が長く続き、その結果、衰退を招くこともあります。
参考までそのことを示す2つのモデルをご紹介します。
「人的資本経営」に求められているものと2つのモデルを照らし合わせることで、どのように感じられたでしょうか。
まずは自社がどの段階にあるのか、軽く振り返ってみるだけでもヒントが得られるはずです。
次回は、「人的資本」に至る歴史的な流れをご一緒に確認したいと思います。
(引用)人的資本可視化指針 非財務情報可視化研究会 1.1(上段)
(参考)「ティール組織」(著:フレデリック・ラルー、訳:鈴木立哉、解説:嘉村賢州、出版:英治出版)


