『日本のこころの教育』に学ぶ、人をつくる「言葉」

2021.10.30 Inner Branding Case

人事や人材育成に携わるご担当者様は、離職率、メンタルヘルス疾患率を低減させ、社員にやりがいや働き甲斐をもってイキイキと働いてほしい、そのために、
・心理的安全性のある職場風土はどのようにつくるのだろうか
・一体感のある組織にするにはどうしたらよいだろうか
・風通しのよい組織にするにはどうしたらよいだろうか
・社員一人ひとりが考え動ける組織にするにはどうしたらよいだろうか
・社員が自発的に学習する組織風土をつくるにはどうしたらよいだろうか
という問題意識のもと、取り組まれているのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、理念や方針を、社員一人ひとりのやりがいや働き甲斐につなげ、お客様はもちろんのこと、地域や業界に対して高い貢献をされている企業の具体的な取り組みを、書籍などをもとにご紹介しております。

2021年米国野球界において、米国野球界のレジェンド、ベイ・ブルース以来のピッチャーとバッター二刀流で大活躍し、選手間MVPに選ばれた大谷翔平選手。
大谷選手は他にも栄誉ある賞を受賞していますが、米国30球団の選手が選ぶMVPというのは、成績とは違う、人としての魅力を評価された賞と言えるのではないでしょうか。

そこで今回は、大谷選手を導いた佐々木監督との出会いにもつながる高校、花巻東高校について紹介します。

佐々木監督は、2020年8月23日の致知出版「大谷翔平、菊池雄星を育てた花巻東高校・佐々木洋監督が語った「何をやってもツイてる人、空回りする人の4つの差」インタビューにおいて、次のように語っています。

〈佐々木〉
私は運気を上げるために気をつけていることが4つあるのですが、そのうち一番大事なのが「言葉」だと思います。

実は、佐々木監督が在籍する岩手県花巻市の私立花巻高校は、2000年頃に行われたある講演会をきっかけに、生徒が「変わった」と言われています。

それは、神奈川県のトップクラスの進学校栄光学園の先生をされた後、東洋思想家として活躍されている境野勝悟氏の『日本人のこころ』という主題の講演会でした。

講演会でお話されたこと、それは、私たちが毎日使っている「言葉」についてです。
「こんにちは、さようなら」とは、「日の丸」とは、「恩」とは、「生きる」とは、
「国歌 君が代」とは、「お父さん、お母さん」とは…

私たちが日頃あたりまえに使っている言葉。しかし、その言葉の成り立ちや意味を話せるか、と問われたら、多くの方が言葉に窮するのではないでしょうか。

境野先生は「あとがき」の中で次のようなことを述べられています。

花巻東高校は、宮沢賢治のふるさとにある私立の高校であった。
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
あの名詩を生んだ町で、若い生命の高校生たちにお話をする幸福を得た。

講演が終わった。
おいとまをして、玄関から車に乗せていただこうとした時、
「先生」
と呼びながら、高二の男生徒が飛んできた。
「先生、いい話をありがとう」
「ありがとう」
わたしは、我を忘れて、彼らの手を握った。
車に乗って、五メートルほど走ると、
「先生!」
と、手を振りながら、高一の女生徒が、車に近寄ってきた。そして、後席の窓をあけた。
「先生、よかったよ」
「感動しちゃったよ」
花のように笑って、一人ひとり丁寧に握手をしてくださった。
後日・・・・・・。
花巻東高校の先生から、講演をきいてくださった全生徒、七百人の感想文が送られてきた。
わたしは、一人ひとりの感想文を、すぐさま読ませていただいて、びっくりした。高校生が抱えている日本への愛情の美しさに、胸がふるえてきた。
もとより、この講演会は、致知出版社からのご依頼であった。
わたしは、藤尾社長に、高校生七百人の感想文のすばらしさを、ご報告した。
「わかった。それじゃ、講演録とその高校生たちの感想文を選んで、一冊の本に仕上げよう」
うれしかった。『日本の心の教育』という題も、いただいた。
七百名の感想文は、どれも明るかった。暗いものは、一つもなかった。だれもが、日本人であることを、喜んだ。みんなの感想文全部を掲載できなかったことが、なんとしても、申し訳ない。
ただ、ひとつの感想文だけ、いまも、妙に心に残っている。
「ぼくは、小学校のとき、先生から国旗の日の丸をみると、不幸になるといわれ、いままで、日の丸を見るのが、こわかった。でも、きょう、先生の話をきいて『日の丸』が太陽の丸であり、みんなのいのちのマークだと知って、あしたからは、国旗をみます」
……と。
極端に否定的な目で日本を見ながら教育していると、日本のこどもたちの将来に光が射してこない。
かつて、初版に当って、花巻東高校の校長先生と理事長にご相談申し上げた。
「それは、結構なことだ。ぜひ……」
と、おっしゃっていただき、感想文掲載の高校生の承諾もいただいてくれた。また、先生方には、全校生徒の感想文をまとめていただき、つつしんで、お礼を申し上げる。
このたび、藤尾社長より『日本のこころの教育』が、致知出版社のロングベストセラーになっている……という、身にあまる有難いお言葉をいただいた。
高校生と手をあわせて出版したみんなの本が、ロングベストセラーになっている。こんなうれしいことは、かつて、なかった。
この本は、どうか多くの人にご協力をいただいて、日本のすみずみで、みんなで読みあってほしい。
終わりに、本書の再販にあたり、致知出版社・藤尾秀昭社長の温かいご指導をいただいた。ありがとうございました。編集部のみなさん、ありがとう。
平成二十七年 秋の大磯にて
著者しるす

境野先生の「あとがき」に、「極端に否定的な目で日本を」とありますが、「日本を」の表現を、例えば「地域を」、「会社を」、「職場を」、「家族を」、「自分を」…と置き換えてみると、働く意欲を持つことができなかったり、心を病んでしまうようなことが起こっている、一つの要因としても捉えることができるのではないでしょうか。

そのような状況を改善するためにも、一人ひとりの命のありがたさや尊さ、という根本的なことを、あらためて知ることができる『日本のこころの教育』は役立つと思います。
世界の人に希望や勇気を与えている大谷翔平選手は、高校以降の「寮生活が自分を変えた」と、インタビューの中で語っています。

どれだけ能力のある選手も、人としてのあり方を育む、文化や風土がなければ、大成しないのではないでしょうか。

自社の理念、ビジョン、方針など、基本的なことこそ、一人ひとりの心に届くよう取り組んでいくためにも、私たち一人ひとりが、身近にある言葉の意味をしっかり理解することが必要なのかもしれません。

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