『日本でいちばん幸せな社員をつくる!』に学ぶ 自分にしかできないことの育て方

2021.10.15 Inner Branding Case

人事や人材育成に携わるご担当者様は、離職率、メンタルヘルス疾患率を低減させ、社員にやりがいや働き甲斐をもってイキイキと働いてほしい、そのために、
・心理的安全性のある職場風土はどのようにつくるのだろうか
・一体感のある組織にするにはどうしたらよいだろうか
・風通しのよい組織にするにはどうしたらよいだろうか
・社員一人ひとりが考え動ける組織にするにはどうしたらよいだろうか
・社員が自発的に学習する組織風土をつくるにはどうしたらよいだろうか
という問題意識のもと、取り組まれているのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、理念や方針を、社員一人ひとりのやりがいや働き甲斐につなげ、お客様はもちろんのこと、地域や業界に対して高い貢献をされている企業の具体的な取り組みを、書籍などをもとにご紹介しております。

今回ご紹介するのは、ホテルの総支配人のお話です。
現在ホテルそのものは地域の再開発の為に立て壊されてしまい存在しません。
しかし、ホテルの総支配人として『日本でいちばん幸せな社員をつくる!‶やさしさ”を大切にしたら人も組織も生まれ変わった』取り組みをされた柴田秋雄さんのお話は、多くの経営者やリーダーに影響を与え、今も柴田秋雄さんのお考えを手本に取り組まれている経営者やリーダーは多くいらっしゃいます。

では、柴田秋雄さんはどのような考えをお持ちで、どのようなことに取り組まれたのでしょうか。
柴田さんが2000年、52歳で国鉄(現JR)からまったく畑違いの業界であるホテルの総支配人(以下、GM)に着任されたのは、1974年開業の名古屋駅近くのJR資本の小さなホテル。4期連続の赤字で資本金7億5千万円に対して借入金が8億円。倒産寸前の状態。再建に向け150人の従業員のうち100人をリストラしなければいけない、という中期経営計画の進行中。そのまっただなかでした。

従業員の経営者への信頼感はゼロ。そのタイミングでのGMとしての着任。
誰一人、柴田さんをよく思う人はいなかったことでしょう。

しかし柴田さんは、リストラに応じる従業員には、雇用条件は変えずに新しい職場を見つけ提供することを約束し、従業員一人ひとりと向き合い、話し合いを繰り返していきます。

当初、意思を確認すると転籍希望は5人。ほとんどの従業員が残留を希望。しかしその背景には、「自信をなくし卑屈になっている」、「わざわざ外に出て惨めな思いをしたくない」という本音を感じたそうです。

そこで講じたのが社員研修。赤字で、リストラの過程で「人材への投資」を持ち出したので、周囲は反対したそうです。しかし「雇用対策」として遂行。

研修は、東京への一泊2日の一流ホテル見学。
そこで学ばせたかったのは「(一流ホテルといっても)やっていることはどこも一緒。だから、自分たちにもできる」という気持ちをもってもらうことでした。

実際に研修をきっかけに社員は変わりはじめます。
その後は、転籍へ応じてくれる従業員が出てきて、リストラは完了。
そして、従業員が努力し成長していくことで、地域での客室稼働率1位、ボーナス額でも一流ホテルを上回り、従業員からもお客様からも「こんなホテル他にない」と言われる「伝説のホテル」となり、7期連続の黒字化へと変化していきます。

ここで、柴田秋雄さんのお考えをご紹介します。
第2章 言葉で人を動かさない 
人は言葉で動くのではなく、その人の態度で動く

想いはあっても外からは見えない。自分の思いは行動で示すしかない。
今は、何でも成果を出せと求められて、50歳を過ぎようものなら、もう役に立たないとリストラされる。人のことを簡単に「使い道がない」などとよく言うよ。腹が立つ。
人の能力を生かしきることもできない経営者や幹部のほうが、よほど能力がないじゃないか。
多くの人は朝早くから会社に行って仕事して、言われたことも言われてないこともやってくれている。うちのホテルでも、そうやって働くみんなに「ありがとう」と僕は言いたかった。給料を払ってるんだからそれは十分だ、文句があるかなんて考えの経営者がいるかもしれないが、僕はそれがいやだった。
ボーナスだって振り込みじゃなく、みんなの顔を見て、一人ひとりに「ありがとうね」と言いたい。
システム化、効率化も結構だけど、それをやっていいことと、しないほうがいいことがある。人に対する想いなんて、どうやって効率化できる?愛情や感謝の気持ちを効率よく伝える方法なんてあるか?
仮にあったとしても、そんなものでは相手に気持ちは伝わらないよ。
従業員が多いし、あちこちにいるから一人ひとりに面と向かって伝えるなんて無理だという経営者もいるけれど、だったら一度にじゃなく何回かに分けてやればいい。やりたくないから言い訳が出るんだろうと僕は思う。
GMになってからも労使会議には毎月欠かさず出たと言ったが、これだって直にみんなに「ありがとう」を伝えたいからだ。
いくら心の中でその想いを持っていたって、それを態度や行動で示さなければ本当に人には伝わらない。
言葉だけでは人は動かないんだ。柴田さんは何があっても絶対に顔を出してくれるという行動があってこそ、初めて言ってることが相手に伝わる。みんなのことが大切だと言いながら、顔を見せない、直接言葉もかけないのでは「口だけ」になってしまう。それじゃダメだ。

柴田さんがおっしゃっていることは、難しいことではありません。やろうと思えば誰でもでき、コストもかかりません。ではなぜそれが出来なくなっているのでしょうか。
そしてこれは、経営者だけの話ではなく、マネジャーやリーダーのみならず、気持ちさえあれば、誰でもできることです。

新型コロナウィルス感染症の影響で、社員の多くがコミュニケーションの機会を失っています。
リモートワークで、組織動向や部門内の情報も得にくくなっています。
このような時期だからこそ、今できることを考えて取り組む価値があるのではないでしょうか。

そのようなことを教えてくれる一作として、紹介いたしました。
このお話はドキュメンタリー映画としても公開されています。
日本一幸せな従業員をつくる!~ホテルアソシア名古屋ターミナルの挑戦〜
優しさ、絆、誠実さ… 大切なことを大切にできた会社があった

映画は不定期で上映され、レンタルもできるので、自社の研修で題材として活用することもできます。
上映情報(一般社団法人アソシア志友館)
映画のレンタル情報(ハートオブミラクル)

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