Category Archives: かかわり方

管理職が部下に「ありがとう」と言えないとき

社内講師応援ブログ推進人の原田由美子です。
先日、リーダー研修を担当したときのこと。コミュニケーションに関するワークを実施したところ、ご参加者のほとんどが、部下に対するねぎらいや、取り組みへのお礼を伝えられていないことがわかりました。

そのため、ねぎらいや感謝の言葉を伝える大事さをお伝えしたところ、休憩時間に次のようなご質問をいただきました。
「中途半端な状態の提出物などについても、「ありがとう」など、感謝の気持ちを伝えたら、その人は成長しないのではないか。「これでいいんだ」と思わないでしょうか。そう思うと、「ありがとう」をなかなか言えないんですよ」

そのときは、「取り組んでくれたことへのお礼と、仕事の出来栄えは分けて考える」ということをお伝えしましたが、その研修を振り返りながら、「もう少し根本的な面からお伝えするにはどうすればよかっただろうか?」と考えました。

そこで思い出したのが、参加者の意識や行動変革につながるカリキュラム構築のコンサルティングや、講師としてリーダーシップ研修などで活躍する、水野浩志氏のエピソード。
部下へのねぎらいの言葉がかけられない人への、アドバイスの着眼点です。

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「信頼・尊敬・感謝など、そう簡単にできません!」という管理職層の意見
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以前、【「出来る人」なのに「認められない人」の特徴】というタイトルのメルマガを発行しました。

簡単に要約すると、「出来る人」の中には(役職の有無にかかわらず)人の上に立てない人が意外と多く、それは「出来る人」という自覚ゆえに、他人を見下してしまうから。なので、あるところからは、 「出来る人」を捨て、「出来た人」を目指しましょう。

では、出来た人にはどうなればいいか。それは対峙する人に対して、
★ 無条件に、信頼・尊敬・感謝の気持ちを持つこと
であるということを、出来た人たちから学んだんですよ、

というお話です。

この内容は、多くの方からよい評価をいただきましたが、一方で、
「無条件に信頼・尊敬・感謝など出来ないのでは」
という方もいらっしゃったんですよね。

例えば、こんなメッセージをいただきました。

考えさせられました。ありがとうございます!
人事考課で人の良い点も悪い点も見なければならないし、比べて順位付けもしなければなりませんが、信頼、尊敬、感謝が邪魔になることもあると思います。
また信頼しても裏切られることが多々あると、周りへの影響もあるので組織運営がうまく行かないこともあるも思います。
時には否定をし、排除すら考えないと組織のためにならない局面もあります(もちろん人格否定ではなく、仕事の能力です)。

また、別の管理職の方からは、

一応ですが私は数十人の部下を束ねる管理職ではあるので、メンバーにはいろんな人が存在します。
出来るヤツ、出来ないヤツ、普通の人、・・・(こういうのがすでにレッテルを貼っていることになるのか?!)そんな中で、すべてにおいて相手の言うことを尊重して話を聞いて、仕事を進めようとすると、必ず横槍が入ったりします。
「だから甘いんだよ」
「今はそんな悠長なことを言っていられる状況ではない」etc…
すべてにおいて、スピードと効率化、そして利益が優先されるので、今日のお話にあったような対応で進めていくのは現在の企業理論からも厳しいものがあるようにも感じています。
そういった場合にはどのような対処が必要なのでしょうか?

もちろん、私の会社が特異な点もあるでしょうし、全てがそうだとは言えませんが、
★ 対峙する人に、信頼・尊敬・感謝の気持ちを持つ
ことと
★ 企業・組織としての効率化、利益志向、スピード対応
をどうやって両立するか。
非常に悩ましいと思いますが、水野さんならどうするか、是非ご意見いただければ幸いです!

というメッセージとご質問も頂きました。
ということで、今回はこの件について考えてみましょう。
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信頼・尊敬・感謝の気持ちはどう持てばいいか?──────────────────────────────────────

実は、以前の私も、このお二人のような考えが、ずっと頭から離れず、うまく信頼・尊敬・感謝の気持ちをもつことが出来なかったんですよね。
「無条件に信頼・尊敬・感謝の気持ちを持て接すること」
と、出来た人から教わり、それにチャレンジしようとするのですが、すぐに
「信頼したら、なんでも任せなければいけなくなるんじゃないか」
「たいしたことでもないのに感謝したら、つけあがるんじゃないか」
「あのレベルで尊敬したら、勘違いされるのではないか」
という不安がよぎり、無条件で信頼・尊敬・感謝など出来なかったんです。

そんなことに悩んでいたある日、ふと昔の恩師のことを思い出しました。

それは、高校時代にお世話になった宮田先生(仮名)。

人見知りで成績も悪かった高校1年の時の私を、温かく見守り、大きく成長させて下さった、恩師です。
そのエピソードには枚挙にいとまがないのですが、今回の件に関わるエピソードで今でも思い出すのが、「通信簿」の話。

宮田先生は現代国語の先生でした。

私は、現代国語は比較的得意ではあったのですが、1年生の2学期に、10段階評価で1をつけられたことがあったんです。

とはいっても、理由は単純。
夏休みの宿題を出さなかったという、実にはっきりとしたものだったんですよね。

理由は、反抗的だったわけではなく、面倒でやる気が起きなかったから、やらなかっただけなんですよね。

先生は「提出しないヤツは1を付けるぞ」とあらかじめ宣言していましたから、私が1を付けられるのは、当然でした。

中間・期末テストも、かなり良い点数を取ったのですが、それでも先生は、容赦なく1を付けたのです。

先生は、通信簿を渡すとき、
「水野、お前は夏休みの宿題を提出しなかったから1な」
と言われ、私は
「はい、わかりました」
と答えました。

会話はそれだけでした。

その後、冬休みをはさんで3学期になりました。
私は冬休みの宿題はきちんとやって提出しました。
そして、テストの点数も、きちんと良い点数を取ったところ、3学期の成績は、10段階評価で10を付けてくれたんですね。

そのとき、先生は通信簿を渡しながら
「水野、お前は宿題もやったしテストも良かったから10な」
と言われ、私は
「ハイ、ありがとうございます」
と答えました。

会話はそれだけでした。

これがよくあるパターンだと、
「水野、宿題を提出しないとは何事だ! 先生は失望したぞ!」
とか、
「水野、宿題もテストもよく頑張ったな! 先生尊敬するぞ!」
といったような会話になりますが、
宮田先生は、そういったことは一切言わなかったんです。

これは、つまりどういう事かというと、
★ 評価の世界に信頼・尊敬・感謝を持ち込まなかった
ということなんですよね。

評価はあくまでも基準値と照らし合わせて、感情的ではなく、客観的に行われるものです。

それに対して、信頼・尊敬・感謝というものは、出来た人たちの教えでは「最初から無条件にあるもの」となる訳です。

ということは、つまり、
★ 信頼・尊敬・感謝は人間関係のベースにあるもの
であり、そのベースの上に、評価というものが存在するのです。

逆に言えば、信頼・尊敬・感謝がベースになくては、評価など出来はしないし、してはいけない、ということになるんですよね。

しかし、本来ベースにあるはずの信頼・尊敬・感謝を評価の世界に持ち込み、相手の成果や能力とリンクさせて、 信頼出来るの出来ないの、と言いだしてしまうことが非常に多い。

だから、多くの組織で、問題視されるほど、人間関係がおかしくなってしまい、無意味に疲弊した人が増えてしまっているのではないだろうか。

宮田先生の振る舞いを思い出すと、そう思えてならず、それをまさに自分自身がやっていたということに気付かされたんですよね。

宮田先生は、私の通信簿に、1から10までの点数を付けました。
そういう意味では、評価は大きく変わった訳です。

しかし、それでもなお変わらなかったのは、私に向けて持つ信頼・尊敬・感謝の気持ちだったんですよね。

そして、私だけではなく、立派な優等生にも、手に負えない不良たちにも、分け隔て無く、信頼・尊敬・感謝の気持ちを持って、接していたように思います。

これを思い出したとき、自分が考えていた信頼・尊敬・感謝の気持ちの持ち方が、根本的に間違っていたことに気付くと共に出来た人たちからのアドバイスが、ようやく腹落ちしたのでした。
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今回のまとめ
信頼・尊敬・感謝は人間関係のベースであり、評価に持ち込むものではない
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今回は本編が長くなってしまいましたので、まとめ以降は短めに。
信頼・尊敬・感謝を実践するための参考として、宮田先生のエピソードを書いたメルマガを紹介しておきますね。

恩師からのメッセージ

人が生き続けるということ

教育者が陥る、教え子の心を折ってしまう典型的対応

久しぶりに読み返すと、涙が出ます。

こんな素晴らしい先生の生き方の価値に、やっと今頃気付く事が出来たというのは、情けなくもありますが、でも、今更でも気付けたことに、心から感謝しています。

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価値観が異なる相手との接し方

社内講師応援ブログ推進人の原田由美子です。
5月に入り、新入社員が配属され始めた組織も多いのではないでしょうか。

さて、そんな時期に気になることが起きています。
実は、3月に公開した「新入社員が「希望した配属先と違う」と不満をもらしたら?」という記事に、4月中旬ごろからアクセスが増えているのです。
検索キーワードを見ると「配属先 違う」、「配属 不満」でアクセスされています。

さて、「配属先に不満」を持っている人が目の前にいたら、あなたはどう接するでしょうか?

先般の記事では「経験を伝えよう」という趣旨でお伝えしましたが、伝える前に、講師あるいはリーダーとして持っておきたい「スタンス」があります。

その「スタンス」について、カリキュラム構築アドバイザー、リーダーシップ研修講師として活躍する水野浩志氏に、「後ろ向きなメンバーへの対応」という視点でお話をいただきました。
ストレートに「配属先に不満を持つ相手」との接し方をご紹介する内容ではないですが、価値観が異なる相手に接する上での示唆を含んでいるので、考え方をつかんでいただけることでしょう。

前置きが長くなりました。それでは、本題へ!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
良いことを言っているのに、伝わらないのはなぜ・・・─────────────────────────────────────
起業家支援や、企業研修などで大きな実績をあげ、さまざまな分野のリーダーが活躍できる環境創出に尽力されている、福島正信先生。私にとっては、メンターという存在です。

多くのリーダーに影響力がある福島先生の講演は、笑いあり、涙ありと、非常に面白く、感動的で、なおかつ、日々の生き方の役にも立つ素晴らしいものです。

講演会の会場には、そんな福島先生の言葉を聞きたいと、いつもたくさんの人たちが集まってきています。

しかし、私はずっと疑問だったんですよね。
何に疑問を感じていたのか。

福島先生のメッセージは、とても前向きで、積極的で、
【究極の理想】
を語っています。

そして、聞き手に対しても、そういった生き方をせよと提唱しているように聞こえるのです。

こういったメッセージは、前向きで、積極的で理想を追い求める人には、とても刺激的で、なおかつとても心地よく響いてきます。

しかし、企業内で実施する研修では、そんな人たちばかりではありません。
むしろ、逆のスタンス、逆のメンタリティの人の方が多いことも多々あるでしょう。

そんな人たちに対して【究極の理想】を伝えたら、批判を受けたり、ストレスを与えたりしないだろうか。

実際に、福島先生は企業内研修もされています。
そういった、後ろ向きで、消極的で、理想など最初っからあきらめているような人たちとも、たくさん接してきているはずです。

にもかかわらず、あれほどのパワフルなメッセージを受け入れる人たちが多いと言うことは、いったいどういうことなのだろう?そこに疑問を感じたのです。

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前向きな人に必要な「前提条件」
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前向きで、積極的で、理想を目指すことは、本当に素晴らしいと思いますし、私自身も、極力こういった生き方をしていこうと心がけています。

しかし、こういった生き方をしている人が、無意識に持ってしまう恐ろしい考えがあります。

それは何かというと、
■ 前向きに生きることが当たり前である
という考え。

それだけなら良いのですが、前向きな人の多くは、
■ 後ろ向きな人たちに対して、否定感や嫌悪感を持っている
んですよね。

そして、この感情が表に出てしまっているために、後ろ向きな人たちとの間に、距離ができています。

それだけで済むならば、人間関係がぎくしゃくする、という状況になるだけですが、組織では、そういう人たちは、リーダーというポジションになりますよね。

そうなると、前向きなリーダーが、後ろ向きなメンバーに対して、きつくあたったり、つらく当たるということが起きます。そういうリーダーがトップに立ち、大きな組織を作るとどうなるか。

そこで働く後ろ向きな人たちは、日々責められ、生き方を否定され、少しは前向きに生きようと思っていても、その芽をどんどん潰されてしまい、心身ともに疲弊していき……

そして、ブラック企業が出来上がる、というわけです。

このところ、某衣料量販店や某居酒屋チェーンといった、前向きな人たちからの評価が高い人物が経営している企業が、「ブラック企業だ!」と叩かれてしまっているのも、これらの経営者が、前向きに生きるのが当たり前で、後ろ向きに生きるのが悪だ、という考えを全面に押し出しているからだと思うんですよね。

では、あの経営者たちにも負けないくらい、前向きなことを言い放つ福島先生はどうなのでしょう。

実は、上の経営者たちが発するメッセージと、福島先生のメッセージとでは、大きく違うことが1つあります。それは何かというと、
★ 人はふつうは怠惰で後ろ向きだ
という前提条件に立っているんですよね。

ですから、福島先生の講演中には、時々、
「普通はこんなことできませんからね」
「人間は基本的には楽をしたい生き物ですから
といったように、後ろ向きの生き方をしようとしてしまう心のあり方を、きちんと受け入れるメッセージを発します。

この言葉がちりばめられているだけで、後ろ向きの気持がぬぐえない聞き手が、ホッとして、福島先生の言葉に耳を傾けるようになるんですよね。

だから、もしあなたの前向きさが、周囲との距離を生み出しリーダーシップが発揮できずにいたとしたら、福島先生が前提としている「人はふつうは怠惰で後ろ向きだ」という前提を受け入れることを試してみてはいかがでしょうか。
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今回のまとめ
「人は普通は後ろ向きで怠惰である」という前提条件を受け入れてみよう━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

しかし、この後ろ向きな前提条件を受け入れるだけでは、前向きなメッセージを伝えることは出来ません。

福島先生は、この前提条件に加え、もうひとつの前提条件を持っています。それは何かというと、
★ しかし人は、前向きで充実した生き方を求めている
という前提条件です。

人間とは、この矛盾した両極の欲求を持ちながら生きている。
これを、両方認めた上で、前向きなメッセージを発信しているんですよね。

という考えにいたったのは、企業内研修で接する参加者の一部との間に距離ができていました。
そのことについて、どうしたものかと悩んでいたのです。

その時に、福島先生のこの考えに触れ、自分が「前向きに生きることが善」という価値観が強すぎるあまり、参加者との間に距離ができていたことに気づいたのです。そこで、人は矛盾した両極の欲求を持っている、という事を前提に、カリキュラムを見直し、発するメッセージも工夫していきました。

すると、面白いことに、参加者の態度が大きく変わってきたんですよね。
今まで、終始やる気が無いそぶりを見せていた人たちも、途中から目の色が変わり、最初は淀んでいた雰囲気だった参加者の人たちも、1日も経つとガラッと変わるという体験を、頻繁にするようになったのです。

しかし、一番大きな変化は、自分自身に起きました。
どんな変化が起きたか。

今までは、後ろ向きな参加者がいると「その人をなんとかしなければ」と肩に力が入ってしまったり「こんな後ろ向きな気持では、仕事も上手くいかないだろう」と否定的な気持で接してしまったりしていました。

しかし、福島先生のおっしゃる前提を元に切り替えてからは、どんなに後ろ向きな人がいたとしても、全くその存在に振り回されなくなったんですよね。

「たしかに、後ろ向きに生きた方が楽だもんね。
だから、そういった態度を取っちゃうのは、よくわかるよ。
でも、本当は、充実していきたいという気持もあるんだよね。
だったら、そんな生き方のヒントを掴んでくれたら、
オレ、今日ここであなたに会えた甲斐があるってもんだよ。
だから、しばらくこの研修につきあってね」

と、こんなゆったりした気持で、接することが出来るようになったんですよね。

当然のことながら、これだけの気持のゆとりがあり、相手を否定せず、受容しながら研修を行うのですから、参加者だって私のことを受け入れて、話を聞いてくれるんですよね。

後ろ向きの気持を受け入れ、それでも充実した生き方をしたいという事も理解した上で、相手とつきあうこと。

それは、相手にとって以上に、
★ 自分のリーダーとしての資質を高める、大切な考え
であるということ。

私は、この経験を通じて、痛切にそれを実感しているのであります。

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「種」が教えてくれた、人の育て方

社内講師応援ブログ推進人の原田由美子です。
講師として、さまざまなタイプの参加者に出会います。その中で、相手の「できていない」ことばかり目に付き、そのことに囚われ、空回りしてしまうことはないでしょうか。
そこで今回は、「カリキュラム構築アドバイザー」として、企業研修では「セルフリーダーシップ」の講師として活躍する水野浩志氏に、できていないことが多い参加者に対して、どのように向き合うとよいかを、自らの体験をもとに伝えていただきます。

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この未熟者めが!!
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私は、短気な性格も手伝って、未熟な人を見ていているとすぐにイライラしてしまう人間でした。

・なぜ、これくらいのことが出来ないんだろう
・もっと先を読めば良いのに
・もっと気を利かせれば良いのに

未熟な人たちの働きぶりを見ながらいつもこんなことを考えて、血圧を上げていました。

さらに、以前は抑えがきかず、思わずその未熟者に対して、厳しい口調で説教するなんてことをよくやっていました。

しかし、その結果、未熟な人たちを育てられたかというと、上手く育ったのはごく一部の根性のある人だけ。

そうでない人は、私からのプレッシャーに潰れたり、反抗して離れてしまったりといった形で、満足に育てたとはとても言えないような有様でした。

その後、コミュニケーションの勉強をして、話し方や伝え方を工夫することで、以前よりは成長する人も増えてきました。

しかし、相変わらず、未熟な人たちへの苛立ちは口には出さずとも感じていました。

そして、それを敏感に察知する人たちは余計なプレッシャーを感じたり、反発していうことを聞かず結局成長させることは出来なかったのです。

正直言いまして、この状況は数年前まで続いていました。

研修などでも、表面上は、参加者を受け入れるようなメッセージを発信しつつも、彼らの未熟な点を見つけては、
「何でそう考えるんだ! そうじゃないんだ!」
「ああ、もうこの人達を何とかして変えてやらんと!」
ということを感じながら、イライラしたり、焦ったりしていたんです。

だから、ものすごくエネルギーを使い、研修が終わる頃はヘトヘトになっていたんですよね……

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未熟な人を育てる人になるために
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未熟な人を見て苛立ちを感じている私は、自分自身をじっくり観察してみました。
するとどうやら、
■ その人自身に足りないものや欠けているものがある
と、強く信じているようです。

だから、その足りないものを埋めるべく、手を変え品を変え、足りないもの、欠けているものを、押しつけようとして、上手くいかずに悩んでいたんですよね。

ところが先日、たまたま家内がガーデニングでこれから蒔こうとしていた種を目にしました。

その時、なぜか突然、
■ 種を指さし「あれが足りない、これが欠けてる」と思うだろうか?
という疑問が頭に浮かび、頭の中で自問自答が始まったのです。

ゆくゆくは、花が咲き、実をつける草花も、一番はじめは、小さな小さな、一粒の種でしかない。
だけど、その種を見て、
「根が、茎が、葉が、花が、実が、足りない!」
と思うだろうか。

さらには、そう思いながら、根や、茎や、葉や、花や、実を、その小さな種に押しつけようとするだろうか?
そして、そうやって押しつけていけば、果たしてその種は、立派に成長するのだろうか?!

当たり前だけれど、そんなやり方では、絶対に満足に花を咲かせ、実らせることなど出来ない。

「この種は、きっと素晴らしい花を咲かせ、美味しい実をつける!
そのために必要なものは、全て種の中にある!!」

そう信じたうえで、その種を土に植え、日の光を当て、水や肥料をやりながら育てていくではないか。

人を育てるのだって、同じ事だろう。

つまり、未熟な彼らは、決して足りない人ではなく、
★ 全て必要なものを持っている、未だ芽吹いていない「種」の人
なのだ。

だから、やがて大輪の花を咲かせ、たわわな実をつけることが約束されていると信じ、そう育つような環境を整えてやることが種を育てる人の大切な役割なのだ!

……ここまで考えたとき、不思議と、今まで感じていた、未熟な人に対しての苛立ちが、はらはらと消えていき、その代わり、彼らに対して、暖かな愛情の気持ちが芽生えてきたのでした。

面白いことに、こういった心のあり方になってからは、研修での参加者の雰囲気や反応や研修後の様子が、大きく変わってきたんですよね。

たとえば、今までは、参加者が積極的に参加してくれるようになるまで時間がかかったんですが、その時間も大幅に短縮されました。
また、こちらから発したメッセージが心に残る度合いも今まで以上に深まっているように感じます。

成長の成果はこれからですが、今まで以上に確かな手応えを感じるようになったのは間違いありません。
講師業が、ますます楽しくなってきています。
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今回のまとめ
未熟な人は、足りないのではなく、必要なものを全て内包している種なのだ
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コーチングでは、
「クライアントは生まれつき創造的であり、全てを持った存在である」
という言葉があります。

私は、15年以上前から、折に触れてコーチングの勉強をしているので、この言葉も、もう何度も目にしてきました。

しかし、何度目にしても、この【考え方】が、どうにもしっくりこなかったんですよね。
たしかに、言葉としては、非常に素晴らしいように思える。

でも、現実的には、創造的ではない人もいるし、全てを持っている人などいないではないか。

そう思って、この【考え方】を振り回し、質問する事ばかりに固執し、アドバイスや意見をする事をかたくなに否定するコーチを、冷めた目で見ていました。

そして「自分はコーチなんか出来ないなぁ」と思い、コーチングというものに、気持の上で、一定の距離を置いていたんです。

しかし、今回、この「未熟な人は種なのだ」という答えに至ったとき、頭ではなく、心から、これらの言葉を、納得して受け止めることが出来るようになりました。

つまり、この言葉は
★ 育てる人がもつべき【考え方】ではなく【あり方】である
という事だったんですよね。

表層的な理屈ではなく、未熟であっても、種が芽吹くことを信じ、そして、その種にとっての最高の花が咲くよう、向かい合って育てていく。

果たして、この解釈が正しいのかどうかは分かりません。

しかし、少なくとも今の私は、
★ 人はみな、すでに成功するために必要な全てを持っている
という言葉を、腹の底から信じられるようになったことを、

自分自身、心から嬉しく思っているのです。

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(株式会社マイルストーン 代表取締役/Six Stars Consultingパートナーコンサルタント)
会場:東京
詳細お問い合わせ:045-222-0737

「日報」導入後、モチベーションが下がった理由

社内講師応援ブログ推進人の原田由美子です。
4月も後半になり、新入社員も職場に配属される頃。
職場配属後に、OJTを担当する方と新入社員の間で「日報」を活用される組織も多いのではないでしょうか。

しかしその日報。意外と、新入社員のモチベーションを低下させる要因になっているようです。
今回は、職場で日報を取り入れたことにより、かえって志気を落としてしまったケースを元に、「カリキュラム構築アドバイザー」として、「リーダーシップ研修講師」として活躍される水野浩志講師がアドバイスします。
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日報を使い始めたんですが……
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ある企業の管理職の方から「日報が上手く機能しない」という相談を受けました。
日報は、部下が毎日の行動を記入して管理職に提出。管理職が何らかのコメントを記して部下に返却する、という流れになっているとのこと。

このやりとりを通じて、部下とコミュニケーションをしっかりとって指導に当たって欲しい、という意図をもって始めたそうです。

しかし、指導のためのコミュニケーションツールである日報が、機能していないとのこと。毎日使っていることは使っているそうですが、うまくコミュニケーションが取れていないというお話です。

ということで、ちょっとその日報のシートを見せてもらったんです。

すると、上司の皆さんは、コメントはしっかり書いています。内容も「部下を成長させてやりたい」という気持が、充分に伝わってくるようなものばかり。

しかし私は、その上司のコメントを見て、
「うーむ……」
と唸りました。

というのも、多くの方に共通する、ある大きな過ちをやってしまっていたからなんです。

それは何かといいますと……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
指導と評価
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指導と評価というのは、部下に対して上司が行う2大業務といっても過言ではないでしょう。
上司の皆さんは、日々、この2つのことを意識していらっしゃいます。
研修などでも、部下を持つ方たちの悩みとして、この2つの話を聞くことが多々あります。

そんな上司が、部下にどう接しているのかを話を聞いてみると、
■ 指導すべきときに評価をしてしまっている
ことが頻繁に起きているようです。

さらに問題なのは、その上司が、
■ 評価をしているのに指導していると思い込んでいる
ということなんですよね。

それでも、上司が部下を高く評価していれば、部下も上司の話を受け止められるでしょう。

しかし上司が、部下の足りないところを伸ばしてやろうと思って接するとどうなるか。
上司は指導のつもりでも、部下は上司から、
「お前はこれだけ出来ていない」
「お前はここが駄目なんだ」
という評価を受け続けることになるわけです。

そんなマイナス評価を喜んで受けられる人は、この世にそんなに多くはないでしょう。
そんなことをしているうちに、部下が自信ややる気をなくしてしまったら、本末転倒と言わざるを得ません。

部下に指導するべき時に評価を下していないかどうか。
部下を育てようとする際には、是非このことを自問自答してみて下さいね。
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まとめ
指導+成長した点を見つけフィードバックしよう
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かくいう私も、指導しているつもりで、評価になっていることがよくあります。

それは、自分自身が足りないところや出来ないところを改善しながら成長させてきたためです。そのため、どうしても相手の出来ていない所に目が向いてしまう。

そして、それを指摘してしまいます。しかし結局それが、相手に対して、ただのマイナス評価を伝えただけとなってしまうという、実に情けない状態。

でも、指導とは、まさに文字通り
★ 指し示し、導くこと
です。

そして、指し示すのは、出来ていないところや、足りないところではなく、
★ その人が向かう方向
なんですよね。

そこを指し示しながら、しっかりと導いていくことが出来たら、出来ていないところや足りないところは、こちらがわざわざ指摘しなくても、本人自身が気づいてなんとかするでしょうね。

もちろん、人を育てる一環として、評価をすることは大切なことです。
出来ていないところ、足りないところを、指導者がきちんと把握することは必要です。

しかし、その評価を、きちんとした考えもなく、そのまま相手に伝えるのは、きちんとした指導とは言えず、ただ単に「評価を下した」だけになってしまいます。

一番大切なことは、相手に評価を下すことではなく、相手の成長を支援すること。

新入社員など、まだまだこれから伸びしろがたくさんあるメンバーであれば、部下が努力した点、成長した点を見つけ、そこを伝えればそれ以外の部分も、部下自ら補う努力をしていくことでしょう。
そうなれば、日報が強力なコミュニケーションツールになります。
かかわるスタンス次第。ぜひ、役立てていってください。

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メンバーの意欲が落ちるルール、高まるルール

社内講師応援ブログ推進人の原田由美子です。
今日から4月。多くの企業が新年度を迎えています。

スタートの時期に大事なこと。それは「チームの立ち上がり」。
研修でも、早く場が作れるのとそうでないのでは、成果に大きな差が出ます。

そこで今回は、研修でメンバーに意欲高く参加してもらうために、また、人材育成部門内でのチームの立ち上がりに効果を上げる着眼点を、プロの講師を対象に「カリキュラム構築アドバイザー」として、企業研修では「リーダーシップ」研修などで活躍する水野浩志講師に紹介いただきます。

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このルールを作ったのは私なんです( ̄^ ̄)
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以前、あるセミナーに参加したときのこと。

企業の管理職の方と隣同士になり、少しお話しする機会がありました。
その時の話です。

セミナーのワークで、
「最近達成感を感じたこと」
というのを、グループ内で発表する、というのがありました。

それぞれ、思い思いの出来事を語っていったのですが、その管理職の方の発表内容が、
「社内のルールを作って周知徹底した」
というもの。

その方のお勤め先は、誰もが知っている大手企業で、私の知人も何人か勤めており、企業で研修をすることもある私は、ちょっと興味があって、
「どんなルールを作ったんですか?」
と聞いてみました。

そうしたら、その方は、聞いてくれますか! といった雰囲気を前面に出しながら、
「まずですね、社内にこんな問題がありまして、それを解決するために云々・・・・・・・・」
と語り始めてくれました。

しかし、その話を聞いているうちに、私は何とも言えないざわざわした気持になってきたんです。

ただ、その時はその理由がわからず「すごいですね!」というメッセージだけ伝えたのですが、家に帰ってモヤモヤ考えていたら、これが気持がざわついた原因なのかな、と思い当たるものを見つけました。

それは何かといいますと……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ルールがあることで得られるもの、失うもの
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組織の中で問題が起き、それを解決するためのルールを作ろう、という事になったとします。

そんなとき、多くの人は
■ 禁止事項・制約事項を作る
事にエネルギーを注ぐようです。

一番わかりやすい例が、セクハラ防止のルールでしょうか。
ちゃん付けで名前を呼んではいけない、
肩を叩いたりといった接触行為をしてはいけない
恋人いるの? 等と聞いてはいけない
などなど、それはもうたくさんの禁止事項が盛り込まれています。

もちろん「人が不快になる行為をしてはいけない」という意味では、禁止事項というものは必要不可欠でしょう。
そして、禁止事項を作ることで、問題が生じにくくなったり、問題の解決が早まったりする事も間違いありません。
しかし、必要最小限の禁止事項を越えて、何でもかんでも禁止事項や制約事項をしてしまうとどうなるか。

目先の問題は無くなりますが、それと一緒に
■ 組織の中にいる人たちの思考力とモチベーションが下がる
ように、私は思えてならないんですよね。

そしてそれは、表面的な問題を無くすための代償としてはあまりに大きすぎるリスクだと私は思うんですよ。

先にご紹介した管理職の方が教えてくれた社内ルールも、一言で言って、ルールの内容が禁止事項のオンパレードでした。
それで確かに表面的な問題は解消したのでしょう。
しかし、その会社で働いている知人に話を聞いてみると、社内的なモチベーションは、決して高いとは言えないという状況のようで、その理由の一端が、禁止事項の多いルールにある、と言っていました。

せっかく、優秀な能力を持った人たちが集まっても、このようなルールで能力が発揮できなくなってしまうのは、非常にもったいない話ですよね。

ですから、もしあなたが、組織でのルールを作ることが出来る立場にいるのであれば、必要以上に禁止・制約事項を作っていないかどうか、是非見直してみて下さいね。
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今回のまとめ
禁止・制約事項以上に、奨励事項・容認事項を設けることに力をかけよう━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

では、いったいどんなルールを作れば良いのか。
答えは簡単で、
★ 奨励事項・容認事項を作る
事です。

こういうことをすると良いね、ここまではやっても良いよ、といった、認められる行動を具体的に明記してあげること。これもまた、立派なルールなんですよね。

実際、従業員がよく考え、モチベーションが高い組織には、禁止・制約事項のルール以上に、この奨励・容認事項が多く盛り込まれています。

例えば、高級ホテルとして有名なリッツカールトンでは、全従業員に対して、彼らが独自に判断して、お客様にサービスをしてもいい予算が与えられているそうです。

従業員たちは、お客様を喜ばせるために、その予算内で工夫を凝らしてサービスをしているわけです。

当然のことながら、自分の頭で色々と考えるでしょうし、自分に権限が与えられている範囲で自発的に行動するわけですから、モチベーションだって高いでしょうね。

ということで、ルールを作る際には、禁止・制約事項だけでなく、ぜひ奨励・容認事項も、併せて考えてみてくださいね。