価値観が異なる相手との接し方

社内講師応援ブログ推進人の原田由美子です。
5月に入り、新入社員が配属され始めた組織も多いのではないでしょうか。

さて、そんな時期に気になることが起きています。
実は、3月に公開した「新入社員が「希望した配属先と違う」と不満をもらしたら?」という記事に、4月中旬ごろからアクセスが増えているのです。
検索キーワードを見ると「配属先 違う」、「配属 不満」でアクセスされています。

さて、「配属先に不満」を持っている人が目の前にいたら、あなたはどう接するでしょうか?

先般の記事では「経験を伝えよう」という趣旨でお伝えしましたが、伝える前に、講師あるいはリーダーとして持っておきたい「スタンス」があります。

その「スタンス」について、カリキュラム構築アドバイザー、リーダーシップ研修講師として活躍する水野浩志氏に、「後ろ向きなメンバーへの対応」という視点でお話をいただきました。
ストレートに「配属先に不満を持つ相手」との接し方をご紹介する内容ではないですが、価値観が異なる相手に接する上での示唆を含んでいるので、考え方をつかんでいただけることでしょう。

前置きが長くなりました。それでは、本題へ!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
良いことを言っているのに、伝わらないのはなぜ・・・─────────────────────────────────────
起業家支援や、企業研修などで大きな実績をあげ、さまざまな分野のリーダーが活躍できる環境創出に尽力されている、福島正信先生。私にとっては、メンターという存在です。

多くのリーダーに影響力がある福島先生の講演は、笑いあり、涙ありと、非常に面白く、感動的で、なおかつ、日々の生き方の役にも立つ素晴らしいものです。

講演会の会場には、そんな福島先生の言葉を聞きたいと、いつもたくさんの人たちが集まってきています。

しかし、私はずっと疑問だったんですよね。
何に疑問を感じていたのか。

福島先生のメッセージは、とても前向きで、積極的で、
【究極の理想】
を語っています。

そして、聞き手に対しても、そういった生き方をせよと提唱しているように聞こえるのです。

こういったメッセージは、前向きで、積極的で理想を追い求める人には、とても刺激的で、なおかつとても心地よく響いてきます。

しかし、企業内で実施する研修では、そんな人たちばかりではありません。
むしろ、逆のスタンス、逆のメンタリティの人の方が多いことも多々あるでしょう。

そんな人たちに対して【究極の理想】を伝えたら、批判を受けたり、ストレスを与えたりしないだろうか。

実際に、福島先生は企業内研修もされています。
そういった、後ろ向きで、消極的で、理想など最初っからあきらめているような人たちとも、たくさん接してきているはずです。

にもかかわらず、あれほどのパワフルなメッセージを受け入れる人たちが多いと言うことは、いったいどういうことなのだろう?そこに疑問を感じたのです。

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前向きな人に必要な「前提条件」
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前向きで、積極的で、理想を目指すことは、本当に素晴らしいと思いますし、私自身も、極力こういった生き方をしていこうと心がけています。

しかし、こういった生き方をしている人が、無意識に持ってしまう恐ろしい考えがあります。

それは何かというと、
■ 前向きに生きることが当たり前である
という考え。

それだけなら良いのですが、前向きな人の多くは、
■ 後ろ向きな人たちに対して、否定感や嫌悪感を持っている
んですよね。

そして、この感情が表に出てしまっているために、後ろ向きな人たちとの間に、距離ができています。

それだけで済むならば、人間関係がぎくしゃくする、という状況になるだけですが、組織では、そういう人たちは、リーダーというポジションになりますよね。

そうなると、前向きなリーダーが、後ろ向きなメンバーに対して、きつくあたったり、つらく当たるということが起きます。そういうリーダーがトップに立ち、大きな組織を作るとどうなるか。

そこで働く後ろ向きな人たちは、日々責められ、生き方を否定され、少しは前向きに生きようと思っていても、その芽をどんどん潰されてしまい、心身ともに疲弊していき……

そして、ブラック企業が出来上がる、というわけです。

このところ、某衣料量販店や某居酒屋チェーンといった、前向きな人たちからの評価が高い人物が経営している企業が、「ブラック企業だ!」と叩かれてしまっているのも、これらの経営者が、前向きに生きるのが当たり前で、後ろ向きに生きるのが悪だ、という考えを全面に押し出しているからだと思うんですよね。

では、あの経営者たちにも負けないくらい、前向きなことを言い放つ福島先生はどうなのでしょう。

実は、上の経営者たちが発するメッセージと、福島先生のメッセージとでは、大きく違うことが1つあります。それは何かというと、
★ 人はふつうは怠惰で後ろ向きだ
という前提条件に立っているんですよね。

ですから、福島先生の講演中には、時々、
「普通はこんなことできませんからね」
「人間は基本的には楽をしたい生き物ですから
といったように、後ろ向きの生き方をしようとしてしまう心のあり方を、きちんと受け入れるメッセージを発します。

この言葉がちりばめられているだけで、後ろ向きの気持がぬぐえない聞き手が、ホッとして、福島先生の言葉に耳を傾けるようになるんですよね。

だから、もしあなたの前向きさが、周囲との距離を生み出しリーダーシップが発揮できずにいたとしたら、福島先生が前提としている「人はふつうは怠惰で後ろ向きだ」という前提を受け入れることを試してみてはいかがでしょうか。
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今回のまとめ
「人は普通は後ろ向きで怠惰である」という前提条件を受け入れてみよう━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

しかし、この後ろ向きな前提条件を受け入れるだけでは、前向きなメッセージを伝えることは出来ません。

福島先生は、この前提条件に加え、もうひとつの前提条件を持っています。それは何かというと、
★ しかし人は、前向きで充実した生き方を求めている
という前提条件です。

人間とは、この矛盾した両極の欲求を持ちながら生きている。
これを、両方認めた上で、前向きなメッセージを発信しているんですよね。

という考えにいたったのは、企業内研修で接する参加者の一部との間に距離ができていました。
そのことについて、どうしたものかと悩んでいたのです。

その時に、福島先生のこの考えに触れ、自分が「前向きに生きることが善」という価値観が強すぎるあまり、参加者との間に距離ができていたことに気づいたのです。そこで、人は矛盾した両極の欲求を持っている、という事を前提に、カリキュラムを見直し、発するメッセージも工夫していきました。

すると、面白いことに、参加者の態度が大きく変わってきたんですよね。
今まで、終始やる気が無いそぶりを見せていた人たちも、途中から目の色が変わり、最初は淀んでいた雰囲気だった参加者の人たちも、1日も経つとガラッと変わるという体験を、頻繁にするようになったのです。

しかし、一番大きな変化は、自分自身に起きました。
どんな変化が起きたか。

今までは、後ろ向きな参加者がいると「その人をなんとかしなければ」と肩に力が入ってしまったり「こんな後ろ向きな気持では、仕事も上手くいかないだろう」と否定的な気持で接してしまったりしていました。

しかし、福島先生のおっしゃる前提を元に切り替えてからは、どんなに後ろ向きな人がいたとしても、全くその存在に振り回されなくなったんですよね。

「たしかに、後ろ向きに生きた方が楽だもんね。
だから、そういった態度を取っちゃうのは、よくわかるよ。
でも、本当は、充実していきたいという気持もあるんだよね。
だったら、そんな生き方のヒントを掴んでくれたら、
オレ、今日ここであなたに会えた甲斐があるってもんだよ。
だから、しばらくこの研修につきあってね」

と、こんなゆったりした気持で、接することが出来るようになったんですよね。

当然のことながら、これだけの気持のゆとりがあり、相手を否定せず、受容しながら研修を行うのですから、参加者だって私のことを受け入れて、話を聞いてくれるんですよね。

後ろ向きの気持を受け入れ、それでも充実した生き方をしたいという事も理解した上で、相手とつきあうこと。

それは、相手にとって以上に、
★ 自分のリーダーとしての資質を高める、大切な考え
であるということ。

私は、この経験を通じて、痛切にそれを実感しているのであります。

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